富山の名産「ますずし」が自転車乗りのオアシスに!? 地方企業と地元高校生が挑む、前代未聞のサイクルラック・プロジェクト
近年、自転車で風を切りながら地域を巡る「サイクルツーリズム」が全国的な盛り上がりを見せています。サイクリストの休憩に欠かせないインフラといえば「サイクルラック」ですが、私たちは今、そこに富山県ならではのユニークな息吹を吹き込もうとするプロジェクトを進めています。
主役となるモチーフは、なんと富山の名産品である「ますずし」です。この前代未聞のアイデアを形にしようと奮闘しているのは、設立から50年を迎える私たち浦島建材株式会社と、地元・射水市立小杉高等学校の生徒の皆さんです。
はじまりは、自転車を愛する専務の思いから
当社は長年、金属の加工を得意としてきました。本プロジェクトの原点は、自身もロードバイク愛好家である中島裕専務の「観光スポットに設置されるサイクルラックを、持ち前の技術力で製作できないか」という発想にあります。
ただの設備を作るのではなく、地域の魅力を発信するプロダクトにしたい。そう考えた私たちは、小杉高校へ共同開発を依頼しました。そして3月、「美術・スポーツ系列」で美術を学ぶ3年生5人が、この挑戦的なデザイン案を引き受けてくれたのです。
「富山といえば…」あふれるアイデアとモノづくりの壁
最初の企画会議から、生徒たちのアイデアは止まりませんでした。富山らしさをどう打ち出すか、ホタルイカやチューリップといった様々な案が出る中で、最終的に選ばれたのが「ますずし」でした。
しかし、紙の上の素晴らしいアイデアを、雨風にさらされる屋外で安全に使えるプロダクトにするのは簡単なことではありません。ここからは、私たちの金属加工・製作ノウハウの出番です。生徒たちの柔軟な発想と、私たちの技術を掛け合わせる日々が始まりました。
形や色、使いやすさについて、社員と生徒たちが何度も話し合いを重ねて生まれた「サイクルラック×ベンチ(通称:ますずしベンチ)」には、たくさんのこだわりが詰まっています。
- ベンチ部分と、ササの葉の形をした背もたれには富山県産杉を使用しています。
- アルミパネルの側板には、お米の粒をデザインしました。
- ますずしの木製わっぱを模した折り畳める丸いテーブルには、思い出を残せるようスマートフォン用の自撮り棒も付いています。
- もちろん実用性も兼ね備え、自転車は2台駐輪できます。
12月9日に実施した小杉高校での製作発表会では、実際に完成品を前に、生徒の皆さんがデザインの意図や工夫を自分の言葉で解説してくれました。開発の裏側や製品の詳しい仕様については、小杉高校とコラボ!『サイクルラック×ベンチ』製作発表会を実施しましたの記事で詳しくご紹介しています。
専門家も驚きの声!全国会議やメディアでの大反響
完成した「ますずしベンチ」は、富山県内にとどまらず、全国からも注目を集めています。
行政や専門家が集う会議にてポスターセッションを行った際には、地域資源と自転車インフラを見事に融合させた発想に、会場から「まじかよ!」と驚きの声が上がったほどです。デザイン性や地域活用モデルへの共感が得られ、確かな反響を呼びました。当日の熱気あふれる様子は、【名古屋自転車利用環境向上会議】参加レポート|ます寿司デザインのサイクルラックが注目をご覧ください。
さらに、この高校生と企業の協働プロジェクトは地元メディアにも取り上げられ、北日本新聞にて「ますずしベンチ(サイクルラック×ベンチ)」の開発ストーリーが紹介されました。地域とともに価値を創出する私たちの取り組みが、少しずつ確かな波紋を広げています。
「まちのたまり場」を目指して。私たちの挑戦は続く
発表会で、デザインを担当した花崎乃々さんからは、「思っていたより使いやすく、楽しいものになって良かった。設置を楽しみにしたい」という嬉しい言葉をもらっています。
私たちが作ろうとしているのは、単なるベンチや駐輪設備ではありません。それは、富山の魅力を発信し、訪れた人が思わず笑顔になってひと休みできる「まちのたまり場」です。
この「ますずしベンチ」は、2026年4月か5月の発売に向けて、現在もさらなる改良を重ねています。
いつか、全国の観光地や海沿いのルートにこの「ますずし」が並び、自転車で訪れた人がそこに腰掛けて語り合う。富山の小さな街から始まった、風景を少し豊かにするこの挑戦。地域・教育・ものづくりをつなぐ共同開発プロジェクトが、公共空間に新たな価値を生み出す日まで、どうか私たちの歩みを温かく見守り、応援していただければ幸いです。